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悲しいけど悲しくない [その他]

誤解を恐れずに言うならば、最近そんな気持ちです。

私が20歳くらいだった。
祖父のお葬式の準備の時、祖母が私の横でそっと耳打ちした。
「わたし、あんまり悲しくないのよ」

お焼香のお香の香りがあまりにいい匂いで、
「これ、どこで買えるのかしら?」
なんてきゃっきゃっとはしゃぐ祖母と、私は一緒になってふざけていた。
暗い葬式に一筋の光を。
これも、子供の役割だ。
悲しすぎて、こんな行動に出ているに違いないと勝手に思っていたから、
この発言に度肝をぬいた。
動揺して、聞こえないフリをした。

「なんかね、悲しいけど.....悲しくないのよ、そんなに.....」
も一度言った。

おいおい泣く母と、気丈に葬式をしきる叔父にもちろん言える訳もない。
言葉の真意を本人に聞き出す機会もなく
その言葉は、17年、いやもうすぐ18年か、私の心の奥底に封印された。

ふと最近、この言葉を思い出したのは
ここ数ヶ月、そんな気持ちになることが重なったから。
悲しいけど悲しくない。
いや、まだ理解からほど遠く、その序章に触れたという感じなのか。

ただひとつ、わかったことは時間はslowでも止まらないこと。
寂しいけど、救われる。
悲しいけど、悲しくない。



鍵.jpg
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